グラフ問題再び

高木浩光@自宅の日記 - NHKの棒グラフ描画システムが機械的に世論を狂わせている可能性

いろいろと反論を考えてはみたんだけど,思いつく反論のほとんどは「それ普通棒グラフで書かないから(折れ線グラフないしは表で書くべき)」でかわされることに気がついてもういいや感が自分の中に漂いつつある.*1

ただ,一つ突っ込むとすると,

少ないサンプル数のデータから、そのバラつきが有意な変化を示すものなのかどうか、直感的に把握するために棒グラフは適している。その場合、波線省略をしてはいけない。面積や高さの比によって把握するからだ。

はおかしいと思った.そのデータが何であるかがわからないと(ないしは統計的に結論付けられるだけの十分なデータ点数がないと)そのデータのばらつきがどの程度であるかはわからない.逆に,それを直感的にわかったような気にさせるグラフは危険な存在というか,直感的にわかったような気になる人が危険だというか.

あと,そういうのは棒グラフでかかないのでこの場合の反論にはならないのだけど,ちょっと複雑な量になれば0基準のグラフが与えるインパクトと実際のインパクトがまったく違うことがよくある上に,目的によってその実際なる物が変化するからどんなグラフを書いたところでそれは一面的な理解にしかならないことがある.だから,誤差範囲程度の動きを意味あり気に示す行為だけは許されないと言うことくらいで(それですら主観的な基準だから,時々おかしいグラフは許容されてる),それ以上の基準をグラフ全般に対して与えることはナンセンスになる.

毎日新聞 所得格差の図がひろみちゅの言う捏造グラフになっている件ジニ係数がそういう複雑な量かは知らないが,そういうのを意識した上でねつ造とか文句付けるべきだと思う.

*1:逆に,折れ線グラフ等で縦軸をいじるのを非難している人は高木氏がそんな主張をしてるかどうか考え直したほうが良いと思う