経済学が有益だとか有益でないとか言う議論以前の話を見ていると

昔読んだ2chのスレ(【2ch】名無しさん?の今日見たもの:経済学がこの世から消えたら…)を思いだす.

経済学が何で必要かってのにたいする単純な理由の一つは,ものを作るのは偉いとか,金融はお金を右から左へ流してるだけだから必要ない的な非常に「常識的」かつ「道徳的」な俗説をたたきつぶせるのは経済学だけだということだと思う.未だに,後者の俗説に縛られている素敵な宗教圏がこの地球上にあるどころか増殖中なわけで,経済学が果たさなければいけない役割はまだまだ大きい.

結局,市場があってそれを享受してる時点で我々は経済学の奴隷なわけで,経済学が役に立たないと言うのは勝手だけど,経済学の基本的な原理なしに金融工学がありようはずもないから,経済学がなければ未だに金融商品は銀行預金だけと言うことになりかねないし,為替や通貨だって下手をすると金本位制まで逆戻りするかもしれない.

いわゆる経済学者達がみんな違うことを言う(そして,そんな学問は学問ではないなど)と非難されるのはちょっと可哀想だなと思う.だって,理系の学問の最先端の分野で,想像(ないしは推測)が必要なことを専門家に聞けばみんな違うことを楽しそうに答えてくれるだろうから.ただし,理系の場合にはそんな分野の内容は人々に理解されないどころか,興味を引かれることすらない.経済学者が可哀想だなと思うのは,常識が通じるかのように思えて,かつ人々にとって興味深い範囲内に推測がないと答えられない分野が残っていると言うことだろう.

たとえば,自分のまわりのミクロの景気の善し悪しは誰にだって切実かつ答えが明確な問題だし,それを普遍化するような思慮の無い人は世の中に大量にいる一方で,その本人のミクロの景気どころか国のマクロな景気ですら合理的な予想はほぼ完全に不可能で(合理的に予想できた時点で合理的な期待が変化してしまうから,それを繰り込まないと…,というか,全部繰り込めたら景気変動なんか存在しなくなっちゃうし…),結局予想や解釈を求められれば推測してみるしかない.

だから,みんな経済学に興味を失ってしまえばいいのにと思わないでもない.そうすれば,もっと経済学者は伸び伸びすごせるだろうから.