国際炭素税

もし,温室効果ガス排出量を本気で減らしたいのなら,国際炭素税を導入するのがベストという認識を持っていた.

が,最近南アフリカの電力事情についてのニュースをBBCPodcastで聞いてちょっと難しいなと思うようになった.

南アフリカでは,電気代が高いのでそこら辺の電柱からの盗電が相次いでいて大変らしい.

電気代が高い→料金払わない→配線切断→盗電→配線切断→収入減少+料金徴収コスト上昇で,電気代さらに上がる→料金払わない人増える→(以下ループ)

という分かりやすい悪循環になっているらしい.

で,驚きなのが当地の電気料金で,詳しい額は忘れたけど,日本の料金の半分くらいだったはず.一人当たりGDPから考えれば驚くほど高い.というのも当たり前で,電気が空から降ってくるわけじゃなし,石油か石炭を焚いて作るのが一番コスト的に安いのだけど,その石油も石炭も国際商品だから途上国だからといって安く買えるわけじゃない.

結局,あるレンジに電気料金は張り付かざるをえないということになる.

結局,炭素税しようぜといっても,先進国なら少し頭が痛いというか,ちょっとお酒控えようとか,ちょっとレジャー控えようとかで済むようなレベルの負担になるものが,途上国では死活問題になる.逆に,途上国でもOKな負担だと,先進国には何の負担にもならないという絶望的な世界になる.炭素税は負担が経済学的な意味で「公平」だから,南北格差の矛盾がもろに突き刺さる.

たぶんそこら辺を考慮した上で,炭素税は最も「効率的」な削減が出来るということなのだろう.貧乏人は飢え死にせよという意味で.経済学は残酷だ.もちろん,だからこそ美しいのだが.