なぜ,我々はWordの絵がどっか言ってしまうと文句を言い募るだろうか?

僕が TeX を使うのを辞めた 10 の理由 - ++C++; // 管理人の日記

を読んで.

私がWordを使っていてひどくむかつくのは,以下の2点.

  • 勝手に増殖して収拾がつかなくなるスタイル
  • 勝手に移動する図版

前者は,自由にレイアウト編集可能なワープロと,やれることを制限することが存在価値のスタイル機能がかち合っているという明確な問題だから置いておくとして,後者はなかなかに不思議な問題だと考えていて思った.

Wordの図版が,特に回り込みをオンにした状態だと勝手に移動することは事実として,我々はLaTeXでタイプセットした時に図版の位置を予想できるのだろうか?*1我々は(少なくとも私は),Wordの図版の位置が思い通りにならないと日常的にむかついているくせに,LaTeXでタイプセットした図版の位置を絶対指定できないことを,ただの一時も気にしたことがない.もちろん,[htb]と指定したのに,勝手に[p]相当の場所に突っ込まれるとへこむのは事実だが,文章の量と比べて図が多すぎるとそんなものかなと納得する.冷静に考えれば考えるほど私はLaTeXに飼い慣らされているだけなのではないかという危惧しか出てこない.

だいたいが,5ページくらいの書類だと,図版のやり場に困って最後のページに全部[p]相当で図版を突っ込むという,かなりためいきの出ることをかなりの頻度でやってくれるTeXにフラストレーションを感じていないのに,なぜWordの図版が1ページ,ひどい時でも2ページくらい移動するくらいのことが許せないのだろうか.実質的な図版の移動量という意味では,たいして変わらないというのに.

これに対する現状の回答は,Wordのインターフェースが良くないということになる.全ての混乱の原因は図版の位置が,回り込みをオンにしたとしても,何らかのテキストを基準に決まっているという一点にある.たぶん,この方式はある程度以上長い文章を前提にすると合理的なんだろうけど,Wordで一番よく使うと思われる5枚-10枚程度の文章を書く際には邪魔以外の何物でもない.かといって,非常に長い文章であれば,わざわざ回り込みも使わないだろうし,TeXのように図版の位置を勝手に適当に決めてもらったほうが楽だ.結局,どのレンジの文章を念頭にインターフェースを設計するかというのがぶれているように見える.

ただ,Wordもかわいそうだなと思ったのは,なぜ,私はTeXでつくるとそんなことしないのに,Wordだと回り込みを多用して,横幅半分くらいのサイズの図をページの右半分に押し込んでしまうのだろうということ.単純に,トラブりがちな回り込みを使用せずに,素直に図版を行内に配置すれば,少しの間延びと引き換えにかなり幸せになれるのではないだろうかと思った.

*1:たぶん,本当にTeXを組み版ソフトとしてプロの世界で使いこなしている人の一部は,ある程度なら予想できるのかも知れないが,そういう人は逆にWordで図版が勝手に移動してキーっというようなことをTeXで日常的に体験するはめになっているのではないかと思う.